2025.02.26

製造業で役立つ資格一覧と収入への影響を解説!

製造業では、業務ごとに必要な資格が定められていることが多く、資格を取得することで業務の幅が広がり、収入や昇進にも影響を与えます。
フォークリフト運転や溶接作業、設備管理など、特定の作業には資格が必要で、企業によっては資格手当が支給されることもあります。
資格には特別教育・技能講習・国家資格の3種類があり、どの資格を取得するかは業務内容やキャリアプランによって異なります。
本記事では、製造業で役立つ資格の種類や収入への影響、資格取得のメリットや選び方を解説します。

製造業で資格が重要な理由

業務に必要な資格がある

製造業では、特定の資格が必要な業務が多いです。
フォークリフトやクレーンの運転、ガス溶接などは、労働安全衛生法で資格取得が義務付けられています。
これらの作業は危険を伴うため、教育や試験を受けた人のみが従事できます。
企業も、資格取得者を配置することで労働災害のリスクを抑え、安全な作業環境を維持できます。

また、品質管理や機械保全の知識が求められる職種もあります。
機械保全技能士や品質管理検定(QC検定)を取得すると、専門知識を証明できます。
生産ラインの管理やメンテナンスでは、設備の故障を防ぎ、安定した生産体制を維持するために役立ちます。
企業によっては、昇進の条件として資格取得を求める場合もあります。

資格を持つことで収入アップの可能性がある

資格を取得すると、賃金や待遇が向上することがあります。
厚生労働省の調査によると、資格取得者に資格手当を支給する企業は41.0%、昇給時に資格を考慮する企業は23.6%とされています。
資格によっては、一時金の支給や基本給への加算が行われることもあります。

参照元:令和元年度資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る実態調査事業 | 厚生労働省

製造業で取得できる資格一覧

特別教育(受講のみで取得可能)

アーク溶接

金属を高温で溶かし、接合する技術を学ぶ資格です。
製造業の溶接作業で使われ、感電や火災のリスクを防ぐための安全対策も学びます。

・種別:特別教育:学科と実技の講習を修了すれば取得可能
・受験資格:満18歳以上、年齢以外の制限なし
・試験内容:試験なし。学科と実技の計21時間(約3日間)の講習を修了すれば取得
・その他備考:労働安全衛生法により、アーク溶接作業には特別教育の修了が必要

フォークリフト(最大荷重1トン未満)

倉庫や工場での荷物の積み下ろしに必要な資格です。
小型フォークリフトの運転に欠かせません。

・種別:特別教育:学科と実技の講習を修了すれば取得可能
・受験資格:満18歳以上、制限なし
・試験内容:試験なし。学科と実技の計12時間(約2日間)の講習を修了すれば取得
・その他備考:特別教育修了者のみ、最大荷重1トン未満のフォークリフトを運転可能

クレーン運転(5トン未満)

5トン未満のクレーンを操作するための資格です。
工場や建設現場での荷物の吊り上げ作業に役立ちます。

・種別:特別教育:学科と実技の講習を修了すれば取得可能
・受験資格:満18歳以上、制限なし
・試験内容:試験なし。学科と実技の計13時間の講習を修了すれば取得
・その他備考:労働安全衛生法により、5トン未満のクレーン運転には特別教育の修了が必要

技能講習(試験合格で取得)

ガス溶接技能者

可燃性ガスと酸素を使用し、金属の溶接や溶断を行う資格です。
火災や爆発のリスクがあるため、安全管理の知識が求められます。

・種別:技能講習:学科と実技の講習を修了し、試験に合格すれば取得可能
・受験資格:満18歳以上
・試験内容:講習(2日間):設備の構造、取扱い方法、可燃性ガス・酸素の知識、関係法令、実技
・その他備考:講習修了で資格取得可能 ※費用は13,580円

フォークリフト運転技能者

最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するための資格です。
倉庫や工場での物流作業に必要です。

・種別:技能講習:学科と実技の講習を修了し、試験に合格すれば取得可能
・受験資格:満18歳以上
・試験内容:学科:フォークリフトの構造、取扱い方法、安全対策を学ぶ
・実技:フォークリフトの操作を習得
・その他備考:講習時間は11時間~35時間
・普通自動車免許あり:31時間、免許なし:35時間の講習が必要

玉掛け技能者

クレーンを使った作業で荷物を固定し、安全に吊り上げるための資格です。
重量物の運搬を行う現場で求められます。

・種別:技能講習:学科と実技の講習を修了し、試験に合格すれば取得可能
・受験資格:満18歳以上
・試験内容:学科:クレーンの知識、玉掛け方法、力学の基礎
・実技:玉掛け作業とクレーン運転の合図
・その他備考:講習は3日間程度
・費用:約40,000円

国家資格(専門性の高い資格)

危険物取扱者

消防法で定められた危険物の取り扱いや管理を行うための資格です。
化学薬品や可燃性物質を扱う製造業で特に重要視されます。

・種別:国家資格:甲種、乙種、丙種
・受験資格甲種:化学系の学科修了、15単位以上の取得、または実務経験2年以上
・乙種・丙種:受験資格なし、誰でも受験可能
・試験内容 甲種:法令、物理・化学、性質・消火方法、実務試験
・乙種・丙種:法令、性質・消火方法、取り扱い試験
・その他備考:3年ごとに保安講習の受講義務あり

電気工事士

電気設備の設置、保守、修理を行うための国家資格で、工場やプラントの電気設備管理に必要とされます。

・種別:国家資格:第一種、第二種
・受験資格第一種:受験資格なし
・第二種:受験資格なし
・試験内容:学科試験と技能試験
・工事範囲第一種:500kW未満の自家用電気工作物の工事が可能
・第二種:600V以下の一般用電気工作物の工事が可能
・その他備考:第一種は第二種より広範囲の工事が可能
※特定の電気工事には資格保有者の従事が義務付けられている

機械保全技能士

工場や製造現場での生産設備の点検、修理、保守作業を行う国家資格です。
設備管理やメンテナンス業務に従事する人に適しています。

・種別:国家資格:1級、2級、3級
・受験資格1級:実務経験7年以上、または2級取得後2年以上(学歴・訓練歴で短縮可)
・2級:実務経験2年以上(学歴・訓練歴で短縮可)
・3級:実務経験不要。機械保全業務に従事または予定の者
・試験内容:学科試験・実技試験

等級の位置づけは以下のようになっています。
・1級:上級技能者。大規模な保全作業やリーダー役を担う
・2級:中級技能者。修理・点検を自己完結で行える
・3級:初級技能者。基礎的な保全作業を実施
・その他備考:学歴・訓練歴によって必要な実務経験が短縮される場合がある

衛生管理者

労働安全衛生法に基づき、職場の労働環境を管理する国家資格です。
従業員50人以上の事業所では配置が義務付けられています。

・種別:国家資格:第一種、第二種
・受験資格第一種:大学・高専卒+実務経験1年以上
・高校卒+実務経験3年以上
・実務経験10年以上
・第二種:同上
・試験内容:「関係法令」「労働衛生」「労働生理」の3科目
・第一種:44問
・第二種:30問
・業務範囲第一種:全業種で衛生管理者になれる
・第二種:金融、サービス、情報通信業など特定業種のみ
・その他備考:合格率は第一種約40%、第二種約50%

資格と収入の関係(政府データを元に解説)

資格手当が支給されるケース

資格を取得すると、企業から資格手当が支給されることがあります。
厚生労働省の調査によると、41.0%の企業が資格取得者に毎月の資格手当を支給しています。
特に製造業では、安全性や業務効率を高める資格に手当が設定されることが多いです。

また、資格取得は昇給や昇進にも影響します。
23.6%の企業は、資格を昇給の際に考慮し、20.0%は一時金を支給しています。
基本給に反映する企業も18.0%あり、資格の取得が収入増加につながることがあります。
一方、27.7%の企業では資格取得が賃金に影響しないとされ、収入への影響は企業ごとに異なります。

参照元:令和元年度資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る実態調査事業 | 厚生労働省

資格による収入アップの具体例

資格を取得することで、手当の支給額や昇給の幅が変わります。
危険物取扱者(乙種4類)は、月5,000円~10,000円の手当が設定されることが多く、電気工事士は基本給が2万円以上増えるケースもあります。

業務に直結する資格ほど手当が支給されやすい傾向があり、危険物や設備管理に関する資格は、安全管理や生産効率の向上に役立つため、企業が手当を設定することが多いです。
資格を取得すると、業務の幅が広がるだけでなく、収入の向上にもつながるため、キャリアアップを考える際には取得を検討することをおすすめします。

資格を取得するメリット

就職や転職に有利

資格を取得すると、採用時の評価が向上し、就職や転職で有利になります。
企業は即戦力を求めており、資格があることで、実務経験が浅くても知識やスキルを証明できます。
特に製造業では、フォークリフト運転技能者、電気工事士、危険物取扱者などの資格が評価されることが多いです。

未経験の職種に転職する際も、資格は強みになります。
業務知識があると判断され、採用の可能性が高まります。
企業側も、資格を持つ人材を採用することで教育コストを抑えられるため、経験者と同等に評価することがあります。
また、資格取得は自己学習の意欲を示し、積極性が評価されやすくなります。

収入が増える可能性がある

資格を取得すると、給与の待遇が向上することがあります。
前述した通り、厚生労働省の調査によると、「41.0%の企業が資格手当を支給」、「20.0%の企業が一時金を支給」、「18.0%の企業が基本給へ反映」となっているため、資格取得することで収入が増える可能性があります。
さらに、国家資格や管理職向けの資格を取得すると、役職手当が加算されることもあります。
責任のある業務を任されることで昇進の機会が増え、長期的な収入向上につながる可能性が高まります。

参照元:令和元年度資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る実態調査事業 | 厚生労働省

仕事の幅が広がる

資格を取得すると、担当できる業務の範囲が広がります。
製造業では、特定の作業に資格が必要なことが多く、取得することで新たな業務に携われます。
例えば、フォークリフト運転技能者の資格があれば物流業務に従事でき、玉掛け技能者ならクレーン作業も可能です。

また、資格があると職場での評価が上がり、重要な仕事を任される機会も増えます。
例えば、機械保全技能士の資格があると、設備の保守や点検を担当でき、役割が広がります。

さらに、複数の資格を取得すると、より専門的な業務にも携われます。
電気工事士と危険物取扱者の資格があれば、工場の電気設備管理と危険物の取り扱いが可能です。
業務の選択肢が広がり、キャリアアップにつながります。

製造業ではどの資格を選ぶべきか?

自分の業務内容に必要な資格を選ぶ

資格を選ぶ際には、現在の業務に直結するものを取得することが重要です。
例えば、フォークリフトを扱うなら「フォークリフト運転技能者」、溶接作業なら「アーク溶接」や「ガス溶接技能者」が必要です。
これらを取得すると、安全性が高まり、作業の効率も向上します。

また、設備管理や保守業務では「機械保全技能士」や「電気工事士」が有効です。
資格を持つことで機械のメンテナンスやトラブル対応に関与でき、業務の幅が広がります。
専門性が証明されることで、より高度な作業を任される機会も増えます。

将来のキャリアプランを考慮する

現在の業務だけでなく、将来的なキャリアも考慮して資格を選ぶことが大切です。
例えば、管理職を目指すなら「衛生管理者」や「エネルギー管理士」などが役立ちます。
これらを取得すると、労働環境やエネルギー管理に関わる業務を担当し、昇進の評価にも影響を与えます。

また、専門技術を深めたいなら「危険物取扱者」や「クレーン運転士」が有効です。
特定の業務に必要な資格を取得すると、専門性が高まり、より責任のある仕事を任される可能性が高くなります。

収入アップを重視するなら手当が付く資格を選ぶ

資格取得は収入に影響を与えるため、手当が支給される資格を選ぶことが重要です。
資格手当の有無や金額は企業ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
昇進や昇給の条件に資格取得を設定している企業も多く、長期的な収入向上を考えるなら、手当のある資格を優先すると効果的です。
資格を活用することで、安定した収入の確保やキャリアアップにつながります。

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まとめ

製造業では、資格が業務の幅や収入に影響を与えるため、適切な資格を取得することが重要です。
資格には特別教育・技能講習・国家資格の3種類があり、業務に直結する資格や収入向上につながる資格を選ぶことで、キャリアアップの可能性が広がります。
また、資格手当を支給する企業も多く、昇給や昇進の評価基準となることもあります。
自身の業務や将来のキャリアを見据え、適切な資格を選び、スキルを高めることで、安定した収入とキャリア形成につなげることができます。

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